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LLPは現代の合法無尽

無尽、という言葉をご存知でしょうか。山梨県など一部の地域では今でも続いているといわれていますが、いまでは廃れてしまった言葉なのではないかと思います。Wikipediaによれば鎌倉のころからあったそうですが、戦前・戦後で多くの場所でなくなったとのこと。著者は色川武大/阿佐田哲也の小説で読んだため、戦後のドサクサに流行ったものかと思っていました。
基本的には、知り合い同士で定期的にお金を出し合う仕組みです。溜まったお金を元にして飲みに行ったり、仲間のだれかに不幸があったときの備えにしたり、と用途はいくつかありますが、どれも共通しているのが互助会として他の組織に拠らず自分たちでルールを決めていることです。銀行と違って利子はつきませんが、預けた額より大きな金額を引き出すことになっても金利もつきません。純粋な支え合いなのです。ただ、活動への出資が絡むと法的にはグレーになっていくため、無尽をビジネス上の仕組みとして活用するのは難しい状況です。

LLPを設立するにあたり、資金回りのことを色々と勉強しました。LLCや株式会社と違う点の一つに、LLPは各構成員の自治を重んじる考えが強いことが挙げられます。通常は、出資金も同額にし、利益や損失の配分も定めないかぎり均等に毎年割って、個々で確定申告をする仕組みになっています。LLPとしてやる事業は、正直、自分ひとりでやるには不安のあるものだったりするわけで、メンバーからの支えがあって初めて取り組むことができるものが殆どです。その際、アドバイスや協働作業といった時間による支えだけでなく、金銭面での支えがあるのは心強いです。一方で支出には他のメンバーへの説明責任がでてくるから、自分のお小遣いで気軽に考えるときに比べ、計画もしっかりします。設立の資金や手間は少々かかりますが、支え合いの精神で仲間を集めて仕事をするには良い組織形態だと思っています。