戦前のサラリーマンから見えるサラリーマンの将来(上) - 複業サラリーマンの時代(7)

複業に興味を持ち始めた頃に、サラリーマンの成り立ちが気になり調べてみました。現在のようなサラリーマンは戦前、大正から昭和初期にかけて増大しました。当時の人たちは、新しい職種である自分たちサラリーマンの事をどう思っていたのでしょうか? 

 


戦前の雑誌で見るサラリーマン

現在のようなサラリーマンは戦前、大正から昭和初期にかけて増大しました。鬼頭篤史の論文「大正末期~昭和初期のサラリーマンの模範像」から、当時の様子がうかがえる記述を紹介したいと思います。 

 

要旨を読むと、大正末期~昭和初期の雑誌「実業之日本」に掲載されたサラリーマンに関する言説を調査して、当時考えられていたサラリーマンの模範像を明らかにするのがこの論文の目的だそうです。 

 

まず最初に、サラリーマン生活4年の27歳の男性が登場します。 

 

この男性は、結婚したくてならないのだが「せめて貯金が五千円になるまで結婚を待たうといふ気持ち」から、貯蓄に励んでいる。彼は、貯蓄に励む自分の姿を情けない話であると慨嘆しつつも、「現実にひきづられ、或は現実に追はれ追はれて小金を溜め、小金を有難がり、お勤め大事と、小心翼々しみつたれざるを得ない・・・。兎も角、僕は意気地なしに甘んじて模範的サラリー・メンたるを期した。又これから期さうとつとめて居る」とその情けない側面こそが模範的であると主張する 

 

また別の保険会社勤務の男性は、 

 

「結婚といふことに就ても、・・・たゞ生活本位といふことを根本として、実際的に考へる様になった。つまり日常生活にさう困らない迄は結婚はすまい」と一度は考えた。(中略) 「現実の生活を考へ、また将来への成功の手段など思うた時、「依らば大木」とかいふことを実行してみたくもなつたのであつた」大木ば大木つまり日常生活にさう困らない迄は結婚はすまい」と一度は考えた。(中略) 「現実の生活を考へ、また将来への成功の手段など思うた時、「依らば大木」とかいふことを実行してみたくもなつたのであつた」 

 

戦前でも、サラリーマンはサラリーマンだった

やはり、今と変わらず「安定」を求めてサラリーマンになったようです。それを少し後悔して自分を卑下する言葉も出てきます。「小心翼々」は意味が分からず辞書を引くと、「気が小さくびくびくしているさま」とありました。「お勤め大事」、「小心翼々」、悩みも自己認識も全く同じです。 

 

加えて、この二人のように、「家庭」「結婚」というキーワードがよく出てきます。 

 

女性の専業主婦化と男性の結婚願望が、サラリーマンを増加

 この頃、女性の専業主婦化も進んだようです。もともと江戸時代の庶民の女性は、髪結いをはじめ色々な小商いをして稼いでいたと、題名を覚えていない本に書いてありました。 

 

収入面で自立の道を断たれた専業主婦化が進むと、安定志向がより強くなり=>結婚相手は安定しているサラリーマンが希望=>結婚したい男性はサラリーマンになる、という流れもあったのかな、と思いました。 

 

複数の収入を確保しておくというのは、思いのほか重要なのかもしれません。脱・専業サラリーマンで、複業サラリーマンになりましょう! 

 

(下)に続く