修繕で「磨く」

小修繕をセルフでこなしてみよう。業者の選択も見積や施工の日程調整も蓄積すべきノウハウの一環。投資額の軽減へも効果的です。さらには物件を熟知でき掌に載せることになる。

水回り

鍵交換

コンセプトを形にして使ってみる

施工を依頼する


2023年の理事会リストラ成果

・7千万円は節約した本年の理事会活動

・管理会社依存は修繕費用青天井を覚悟せよ

・理事会のあり方が区分利益率を左右する

●7千万円は節約した本年の理事会活動

年末に一件で理事長を拝命し、計4物件の理事長、1物件の理事を引き受けている。管理状況だけでなく、総会資料にて提案される修繕費用の妥当性が気になり、総会などことある事に意見を言うから、なり手のいない理事会の格好の理事ターゲットになっている感もある。でも本ブログの基調であるところの、「理事会はマンション所有者にとってランニングコストである管理費・積立金を左右する場」の認識を持つ自分にとってはWelcomeなのだ。

さて、本年の活動成果だが、偶然にもうち3件が大規模修繕のタイミングであったために、合計で7千万円超の修繕費用低減を果たした。

・大規模修繕 2千5百万円規模を1千5百万円に低減

・大規模修繕 8千万円規模を4千7百万円に低減

・大規模修繕 4千万円規模を2千5百万円に低減

・大規模修繕 7千5百万円規模を5千万円に低減

他にも管理組合過失の漏水事故の改修で数百万円を低減するなど理事会として取組み実績を上げることで、理事のあり方にも一石を投じることができた。

●管理会社依存は修繕費用青天井

これらの支出低減は共通の取組みで実現している。それは修繕事案を管理会社主導から理事会主導へ切り替えるリストラ策だ。別のブログでも紹介した通り、管理会社は管理委託サービス会社であるとともに、ゼネコンでもある。修繕事案は彼らにとって売上機会なのだ。輪番理事からなる理事会は管理会社の提案に反論する知識も、相見積もりなど比較する手段も持たない、まさに羊の群れだ。企業にとって、こんな容易な売上機会は世の中にそうはあるまい。複数の理事会に関わり、修繕実績を積み重ね、施工業者と関係を作ってある当方は、修繕工事の範囲や金額目安など容易に算出できるから、管理会社提案への疑問と共に理事会の対応が歯がゆく感じてしまうのだ。

 

今年の費用低減策をつぶさに見れば以下に尽きる。

①方式選定:ゼネコン管理会社の提案する「設計監理方式」から理事会主導の「責任施工方式」の採用

②工法選定:「足場工法」から「無足場工法」の採用

 

①方式について、「設計監理方式」とは、ゼネコン管理会社が、調査から入り、修繕施工箇所を決め、見積仕様と目標額を提案。合意後協力会社から相見積もりを取り再提案、通常最安値を採用し、議案化、総会決議。施工時にはゼネコン管理会社が施工会社実施の工事への監督業務を果たす。工事費用とともに、設計監理業務の売り上げる。

「責任施工方式」は施工業者が工事をすべて仕切る方式だ。理事会が直接発注するし、工程は施工業者任せだし、完了確認も理事会が対応せねばならないが、設計監理料が無く、管理会社と協力会社との間に発生するであろう営業関連費用が無い。

 

ここまで話せば多数の読者はお分かりのことと思うが、理事会は以下を検討すべきなのである。

・まずは「方式」と「工法」のオプションがあることを基礎知識として持たねばならない。

・その次に、「設計監理料」がゼネコン管理会社によって大きく違うことを知らなければならない。

・それから、大規模修繕工事とはどの物件もほぼ同じで、基本的には塗ると貼るだけの単純なものである認識に立つべきである。

・判断の基準は長期修繕計画に則り、財政面から判断すべきである。

 

結果として管理会社と理事会の基本的な関係構図は、「丸投げ」か「理事会主導」の二択である。しかしながら長計を大きく左右するオオモノ、大規模修繕工事、配管更新、エレベータ更新、などは理事会は有識者からなる修繕委員会などを作るなどして理事会主導を考えるべきと思う。全て丸投げは長計青天井を覚悟せねばならない。

●修繕は区分投資の利益率を左右する一因

さてこうして長計遵守の方針で、管理会社提案をことごとく覆し、7千万円余りの支出低減を果たしたわけだが、区分所有者としての自分はどれくらいコスト低減できたのだろう。おそらく3物件の修繕積立金値上げを阻止したことによる効果月1万円程度だろう。年間にして12万円ほどだが、事例は蓄積済みだったし、リストラ策も共通型だったからさほどの手間ではなかった。一方で汗をかかざるえないのは、他理事との関係構築だった。人が集まればその多様な価値観を理解したコミュニケーションが欠かせないのは理事会でも同じだ。何はともあれ、この3物件に住むおおよそ150所帯にまずは直接的な恩恵を与えることができたことを素直に達成感として新年を迎えたい。

#理事会

#大規模修繕

#理事会のあり方

#管理会社との関係

#長期修繕計画

#修繕積立金が足りない

0 コメント

年金給付繰り下げの落とし穴

・一年我慢すれば8.4%増額!ワンルーム投資並みの年収増!?

・統計的に捉えた勝ちパターン

・運命にモノサシを当てて見えること

・果たしてワンルーム代替案は是か非か

●5年繰り下げで42%増額。ワンルームの家賃年収並みのリターンか!?

不動産収入で年金を補うシニアは多いことと思う。年収千万円層でも年金給付額は250万円・年程度だから不動産や株の配当などストック収入で補おうとする投資行動はごく当たり前だ。

そこで気になるのは年金の繰り下げ給付による給付金増額制度だ。一年給付を遅らせれば8.4%増額される。5年繰り下げれば42%、上記給付額250万円・年の場合なら、100万円・年超の増額になる。これはワンルームマンション投資の年収に相当する額だ。不動産や給与収入で5年食いつなげばワンルーム一戸分くらいの増収効果がある。さて、この目論見は妥当なのであろうか・・・

●統計的に捉えた増収戦略

結論から言えばこの増収戦略は「もやっと感」は伴うものの「あり」だ。おススメのひとつは2年繰下げとなるだろう。

寿命を統計的に捉えれば、男性の場合、65歳時の平均余命は18年、偏差は8年。つまり約7割の男は75~91で天寿を全うする。その平均は83歳だ。正規分布なら83を頂上にした75~91の山なりカーブを想定すればいい。

下表を見てほしい。

平均83歳時点での累積給付額の増額差で妥当な選択は2年もしくは3年繰下げである。さらに絞れば2年繰下げを選ぶべきであろう。累計額が最大である3年繰下げケースとの累計差は微々たるものにもかかわらず、寿命偏差の山の始まり75歳時点での通常給付との累計差は160万円だ。月割りで見れば1万7千円のマイナス。給付後の月当たり3万5千円の増額を考えれば選択に値する累計マイナスと言えよう。冒頭の期待、ワンルーム並みの年収増作戦は本ブログの最後に記述する。 

●シニアは金融合理性に当てはまらない。消費こそ人生と生き方を変えよう

年金とは給付累計で約1千万円の差、さらに個々の寿命ファクターから、5千万円超の差が生まれる金融商品のオプションの選択と言える。しかし安易に「ストックを増やしてリターンを得る」という現役世代のままの考えが当てはまるのは、家系的・生活習慣的に長寿に確信がある人に限られよう。給付対象年齢の人生はご覧の通り小さなスプレッドシートに記述できる程度だ。

余命にモノサシを当てた合理的比較にもやっと感が伴うのは、シニアになれば余命不確実性が増大することで、ボトムが大きければ良し、の評価尺度がすんなりと当てはまらないからだ。シニアにとって、蓄財・子育て・住宅ローンに変わる支出先は「やりたいこと」だろう。『 The Bucket List 』(「最高の人生の見つけ方」)のフリーマンとニコルソンばりにそれを見つけ表に追記したい。65歳でそのために250万円が必要ならば繰り下げすべきではない。65歳以降の人生にとっては消費が第一。消費によって社会に貢献している、とミッションを変えよう。不幸にも早逝するようなことがあれば、それはそれ、長生きリスクの解決に貢献できるわけだから。

●ワンルーム投資代替は「あり」。「死に金」を「生き金」に換えるチャンス

補足として、ワンルーム投資代替について再考したことを書く。死に金・生き金の観点である。

本ケースで4年ほど繰り下げればワンルーム並みの増額が可能となる(年84万円、月7万円の利益相当)。この増額分は死ぬまで空き家リスクのないフロー相当と考えられる。この時点で現物ワンルームを売却すれば即キャッシュになる。5%利回りの物件とすれば売却額は1680万円と仮定できよう。

以下の流れだ:

・65歳から4年繰下げ。1000万円の機会損失

・4年後69歳年金受給開始。250万円に加え84万円増額獲得

・同時にワンルーム売却。価格1680万円・手数料や税引き後の収入1600万円(5%利回り物件の仮定)

メリットを列記してみると:

・年金増額により、平均寿命時に累計増額188万円、長生きリスク対応として91歳時点(偏差8歳)で累計増額815万円

・ワンルーム売却により69歳時点でキャッシュ化1600万円。4年繰下げによる1000万円の機会損失を取り返したうえに600万円の増額

改めてこのメリットを要約すれば、「死ぬときに持っているはずの不動産を、69歳時点で将来の家賃収入分を年金増額で確定し、物件を現金化、生きている間に使ってしまう」ということだ。まさに「死に金」となる不動産を「生き金」に変えてしまうことと言える。69歳まで十分なフローがあり、消費をためらう必要無き投資家は一考に値するオプションである。

0 コメント

物件の命運を分ける排水管更新

・共用管の限界は40年。事故発生前に予防保全が必須の設備

・高額な工事費用に加え、全住人の協力が必須

・長期に渡って修繕計画へ所有者の関心を惹きつける必要性

●限界は40年

所有物件の複数で排水管(共用部の竪管)が寿命を迎えている。共に80年代前半築だ。

一件は排水管からの漏水で、階下の居室は汚水にまみれた。原因は詰まりで、なぜ詰まるかと言えば、垢やさびで管内が狭くなってしまっているからだ。内視鏡検査でその状況は一目瞭然。特に接手部分が危険である。

もう一件は、外見から判るほどの管の劣化で、高圧洗浄ができない状態である。

こうなってしまうと、質の悪いペーパーは使うな、などなんとも涙ぐましい注意喚起くらいしか対処法がない事態に追い込まれる。後述するが、排水管の更新は費用面、住人の協力面から一大事業であるからだ。

これら経験からすれば、排水管の限界は40年で、それまでに更新工事を済ませておくべきである。なぜなら排水管漏水は雨水や上水道からの漏水と異なり、居室の「汚染」を引き起こすからだ。それ以上は言うまでもあるまい。予防保全が必須の設備である。

●工事費用は大規模修繕並み

更新工事の工法としては二種類。交換と更生工事だ。

・交換:共用管をすべて新しいものに取り換える

・更生:共用管内部を研磨・コーティングする

一例としての費用は、交換が一戸あたり負担に換算して100万円超、更生で同50万円超のイメージだ。50戸規模なら5千万円、100戸規模は1億円と、大規模修繕並みの費用が必要である。更生工事でその半分超だ。35年までに済ませようとすれば、一戸あたり年間3万円、月2千5百円の積み立てが必要なのだ。当たり前に「流す」ことがこれほどのコストを伴うと考えている住人はおそらく皆無だと思う。

●施工には全住人の協力が必須

さらに大変なことは住人の協力だ。どちらの工法でも、共用管を共用している全住戸の協力が必須なのだ。

工事期間中は全戸で使用を止め、さらに宅内からの施工対応に応じる必要がある。これは管理組合として全住戸全所有者全住人と確実にコミュニケーションが取れていないと実現できない。排水管が使用不能となればもう住むことができなくなる。マンションにとって致命的な設備であることが意外と知られていない。

毎期の総会において、長期収支面で全所有者の関心を惹く努力が必要なのである。築30年あたりで注意喚起とともに更新計画を緒につけておきたい。

0 コメント

修繕工事業者のボヤキ

・変わらない請負の構図

・管理会社の社会的責任

・管理組合、そして所有者の自己防衛策

現場監督のつぶやき

自宅マンションは3年前に修繕工事を実施した。理事会が選定し直発注した業者は、施工中にタイル剥がれ修復の工法を変えたからと70万円ほど工費を下げてくれた。「実直な業者」の印象である。その前の大規模修繕も相見積もりの結果、この業者が選定されており、通算二勝。合わせて二十年あまり自宅マンションを守ってくれている。アフターにおいてもトラブルを起こしていない。自主管理マンションの理事として専門業者の実力や対応力に高い関心を持っているが、修繕工事に関してはこの業者と現場監督を高く評価している。

 

その現場監督のN氏が訪ねてきてくれた。先の工事完了の際には共に足場を巡った。日焼けと深く刻まれた皺、丈夫そうな体躯が変わらず信頼感を醸し出している。一昨日の大雨の時にパルピットから雨水があふれ、その点検のための来訪だった。パルピットを這う横引き部分が、大量に流れ込んだ雨水の重量で外れ、上階からの雨水が一気に流れ込み水があふれたとのことで、当時の修繕工事に瑕疵は無いとの説明だった。

 

点検来訪に謝意を伝えるとともに、大規模修繕を急ぐ別物件の施工対応可能性を尋ねた。

わたし:「修繕工事待ったなしの物件があるのですが、この秋、施工できる余裕ないですかね?」

N氏:「人手が足りない状況なんですよ。病院とか介護施設とか大きな工事を頂いていて。一方でマンションの大規模修繕は塗装屋さんとかの新規参入もあって最近はあまりやってないんです」

続けてN氏:「何よりもマンション管理会社に仕切られるのが嫌なんです。相見積もりだって出来レースで、価格調整はさせられるし、選定されてもキックバックを要求されたり。10%取られたら利益出ませんよ」「そもそもマンション管理会社がなぜ工事に関わるのか、管理だけやるべきですよね」

と同意を求められた。わたしの持論どおりの話の展開に少々驚くも、憤懣やるかたなしの語り口に内心共感しきりだった。一方で信頼を置く業者がマンション修繕から距離を置く状況に無念でもあった。

 

国交省はこのコンサル方式に警鐘をならしている。キックバックによる不正が常態化しているからだ。

・国交省注意喚起「設計コンサルタント業の不正」

https://www.mlit.go.jp/common/001230147.pdf

平成29年の発信だが状況は変わっていないようである。他にも元請の丸投げ・中抜きを規制されている。

・元請への制限:

https://www.mlit.go.jp/report/press/totikensangyo13_hh_000453.html

上記の状況から方式視点でまとめているのが以下のサイトだ。

・見直されるべき責任施工方式

https://www.zenkoku-mankan.org/construct/

管理会社に期待したいこと

そもそもマンション管理会社は「サービス業」である。にもかかわらず、突然、何の前置きもなく「建設業者」となって修繕工事の元請や監理の提案をしてくる。前述の元請業規制はクリアしていることだろう。しかし彼らは「サービス業」としてマンション財政にも関わっている。住人の財布の中身を把握して、一方ではその財源の主な使途である修繕に「建設業者」として提案をしてくる構図だ。容易に捉えられる売上機会であることは理解できるが、利益相反視点で危うい。グレーゾーンに感じるのはわたしだけでないだろう。事実、同業で元請をしない企業があるのだから(後述)。

 

さらに提案を聞けば、修繕について不明な理事達の足元を見て「品質リスク」を煽る。「施工業者任せはリスクがある」、よって元請や監理が必須との弁である。理事達にとってコスト対効果の合理的判断が必要な場面であるが、その判断材料が提供されることはない。品質を人質に「支出リスク」がおざなりにされる局面である。理事達が必要なのは判断に必要な情報であり、物件管理を委託しているパートナーに期待したいのはここであろう。

 

そして先述の現場監督のボヤキにある業者選定仕切りとキックバックの業界構造だ。マンション住人はこうしたいくつもの「支出リスク」、「住」という生活基盤に寄生しようとする業、に懸念を持つべきだ。

 

この懸念について素晴らしく実践的な分析記事がある。管理会社を修繕工事の元請をする・しない、で一覧にしたのである。管理会社が売上重視姿勢か住人に寄り添う姿勢かの判別に一つの指標となりそうだ。

・元請けをする管理会社、元請けしない管理会社、どちらが良いの?

https://manshion.runkodaira.com/daikibosyuzen-managementcompany2/

表中のわたしが関わったことのある管理会社を確認すると、当方の主観的な評価とほぼ合致している。こうした管理会社選定の判断指標がもっと重視されるべきだと思う。

 

経営に関わる身として一言。なぜ管理会社の経営層は本業であるサービスミッションをその社会的責任において再定義できないのか。親会社であるデベロッパーからオートマティックに落ちてくる物件をストックに、そのアフタービジネスを線形に描くノンインテリジェントな天下り経営をイメージしてしまう。住人にとって共生パートナーであるはずの管理会社から寄生の匂いがするのなら、その原因はこの経営姿勢、ミッションにあると危惧する。マンション管理本来の「サービス業」として伸びしろはいくらでもあると思う。にわか建設業になる前に、サービス業としてお客に寄り添ってほしいものだ。そもそも体を張って現場に立つ施工業者のやる気をそぐような介在ビジネスを業にすべきではない。

理事会が基底に据えるべき活動目的

そもそも戸建てに比べてマンションは維持費が大きい。先述の「支出リスク」も含む複数のリスクが長期修繕計画に織り込まれ、今日支払う修繕費が算出されている構造が一因だ。修繕工事の検討に割く時間もなく、管理会社に丸投げしたい理事達の状況は理解できる。しかしながら自分の家だと思えば、その維持について最低の知識武装は必要ではないか。以下の項目は住人が直接仕切り、さらにはその結果を長期計画に反映することで財政収支を自分たちの手のひらに載せることだ。

 

1.建物診断:構造的欠陥の有無確認。通常は経年劣化が大半の改修理由のはず

2.施工指針・方式検討:責任施工方式(修繕業者に直発注)か、設計監理方式(元請や施工監理業を修繕工事業者を監視役で入れる)の選択。経年劣化なら工法は修繕は塗る・貼る、だけだ。元請が必要なのか、直発注でも十分ではないか、を検討しよう。監理が必要と考えるならマンション財政にも施工業者にも中立な設計事務所などを検討しよう

3.長期修繕計画への反映:将来2回分の大規模修繕工事費用に結果を反映し、収支を検証しよう

 

いくら管理会社やゼネコンに元請や監理を任せても、品質は下請けや孫請け、さらに現場を担う職人のスキルやモラルに依存してしまう。壁や屋根に登る現場作業員の施工段階でテキトーにやられたらトラブルの種はそこに根を下ろす。いくら監理者をいれて現場監督を監視しても職人の一挙手一投足に付きっきりでチェックすることは不可能で、施工後の目視チェックに頼るしかない。だから大手ゼネコン元請施工でもトラブルは尽きないのだ。経年劣化であれば塗る・貼るだけだ。責任施工(修繕業者へ直発注)で余計な出費を抑え、自ら現場監督と施工状態を確認をすべきだ。そうすれば効果不明な「支出リスク」そのものから距離を置ける。

 

生涯付きまとうマンションコストは生命保険並みの大物支出だ。公益財団法人生命保険文化センターが3年に一度実施する「生命保険に関する全国実態調査」の2021年度の調査結果によれば、生命保険で払い込む保険料は全世帯平均で年間37万1000円、月換算で3万円だ。購入したマンションの維持費(管理費・修繕積立)は、「人生の大きな買い物」と言われている生命保険料と同様に「大きな買い物」なのである。さらに生命保険よりキツイのは払い込み完了年齢がなく、一生毎月、死んだ後も所有権移転まで支払いが必要なことだ。

 

このようにマンションという「大きな買い物」はさらにその維持という人生の「大きな買い物」を伴う。今日支払う維持費の算出は30年先までの収支によって決まる。若くしてマンションを所有し人生の夏を過ごす、が、皆全員がマンションとともにやがて高齢化し、年金生活者となり秋そして冬へと否応なくそのステージを変えていく。寄生しようとする業を避ける知識の有無が、マンションの長期収支を左右し、そしてそれは所有者のライフプランをも左右する。リスクの言に煽られることなく、マンション保険も考慮に入れた財政バランスを住人の健全な論点とすべきだ。是非明るく楽しく整合してほしい。

 

#マンション #理事 #財政 #管理 #大規模修繕 #元請 #マンション管理会社

0 コメント

大規模修繕ー3.一般管理費を見逃すな

・「一般管理費」が計画上の伏兵

・適正かチェックすること

計画で見逃しがちな「一般管理費」

一般管理費とは直接工事に関わる費用でなく、企業経営に必要な経費。スタッフ部門の人件費、オフィス賃料、育成費用、福利厚生費用、役員報酬、など。直接工事費の10~15%前後が目安と言われている。大企業ほど大きくなる傾向だ。

国土交通省 公共建築工事共通費積算基準(28年度)によれば規模と種類によって割合が異なる。

500万円以下:約17%

20億(30億)円以上:約8% 

この間は数式がありますが、8%~17%の間になり、金額増えるほど割合が下がる。

https://www.mlit.go.jp/common/001157937.pdf

よって修繕工事においては工事費の10%~程度を見込まねばならない。

長計上では一般管理費項目を作って%まで仮定すべきだ。

提案の一般管理費率は適正か

さて、管理会社の大規模修繕工事提案において一般管理費がどれくらい加算されているのかチェックしたい。売上重視の姿勢か管理組合に寄り添う姿勢か、こういったところからチェックするのである。

建設会社であれば工事原価が見積額を構成する要因であるから、それに対する上記%で容易に確認できるし、また国交省ガイドに外れる業者もいないだろう。一方の元請はどうか?作業内容はコンサル委託とほぼ同じ、設計、選定、施工監理、だ。下請けに組み込まれる建設会社の工事費用を含む一般管理費%を要求されるのは筋に合わない。

ちなみにコンサル委託の場合、某社の実例はコンサル費用の約35%だった。数百万円の請負規模であるから妥当だ。元請の場合、作業は同様なのに下請け工事費含む一般管理費%を要求するのは腑に落ちない。

このあたりのガイドの有無については引き続き探していくとして、やはり中間にいる業者は排除して施工業者に直接発注するほうが安価に済むことは間違いない。

請け負う側も信頼関係を損ねないようにしっかり説明すべきだ。これを怠って議案化し、実施のフェーズで見積額に驚愕する事例は枚挙にいとまがない。

 

#マンション #大規模修繕工事 #管理

 

 

(*写真は本記事とは一切関係ありません)

0 コメント