自分の居宅、専有部をリフォームしましょう。プロに丸投げもいいですが、コンセプトは自分で考えることが生活改善に大きな効果をもたらします。
80年代物件は専有部漏水のリスクが高い。給湯管が寿命の短い銅管製だからだ。筆者も加害1件、被害1件の経験済み。
そのような経験から、83年築某物件の賃借人に漏水対策保全へ退去を求めたが折り合いつかず居住のまま暫定対策を施した。対策の内容、費用、そしてその意義についてまとめてみた。
バルコニー設置の給湯器から室内床下に入り、流し台やUBへと配管されている給湯管の使用を止め、樹脂管でバイパス配管を施工。経路はバルコニー壁面の差圧レジスタの穴を利用し室内に入れ、居室部分の床入隅を這わし、各給湯場所へ露出配管である。流し台には給湯用単水栓、UBにシャワー付き単水栓を設置、既設混合水栓は水のみの使用、旧給湯管は撤去せずに放置した。この対策なら在宅のまま、家具移動もほとんどなく、多少の養生のみで施工できる。
工期は半日、費用は税込みで17万円、以下が明細だ。
1.配管材
ポリブデンパイプ16A 15M×920=13800
同継手類 1式 27070
ポリブデンパイプ13A 3M×730=2190
同継手類 1式 13880
2.水栓
浴槽シャワー単水栓 K18YF 1台 11000
キッチン自在水栓 K330 1台 5700
3.支持金具類、パテ材、SUSフレーキ管、他 1式 5800
4.施工費 1式 60000
5.養生、諸経費 1式 20000
小計 159440
さて、この17万円ほどの小工事の意義と意図を説明しよう。
まず直接の目的である漏水リスクは7割がた軽減できる。大半の漏水事故は銅管が原因だからだ。リスク軽減の意義は大きい、が、しかし塩ビライニング鋼管製の給水管の漏水リスクが残る。よってあくまで全面リフォームへの時間延ばしであり、引き続き退去時期を交渉し、残るリスクは賃料値上げや保険など金で軽減しなければならない。この交渉へ、小工事は、物件保全への賃借人の自分事としての理解を促し、歩み寄りへのきっかけとする、が筆者の意図だ。それほど保全理由であっても更新停止・退去合意は難しいのである。「応援する」という当方の趣旨から争いごと化はあり得ないオプションだから。
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紆余曲折を経て完工した。仕上げ~引き渡しに向けてリフォーム業者の管理能力が試されるところであるが納期他期待を大きく外れ、連日現場を確認する日々が続いた。見積項目としての現場管理費の意味を問いたい局面であった・・・。
気を取り直し、引き渡し後に実物に身を置いて改めて企画意図を確認していった。図面ではどうしても空間感覚が湧かず、空間を把握できずにずっとモヤモヤしていた。まさに最大の検証事項だ。一つずつ仮の調度品を置きながら空間想定の良否を確認していく。
まずはリビング拡大。専有部中央にあったトイレ・洗面を移設し、ダイニングに割り当て、L字型のLDKとした。写真のタイル敷の部分だ。 ダイニング部を合わせLDKは6畳から9畳に拡大した。
そしてリビング併設の間仕切り居室1にロフト設置。4畳大ほどの空間にベッド化可能な1畳ロフトを付け全体として2LDK物件にした。 梁の奥右手の天井が下がった部分だ。
Before 居室1 リビングと間仕切り折戸で仕切られる。クロゼットの裏側がトイレ、その左手の壁の裏側に洗面台があった。
After 壁とクローゼットの向こう側の洗面室設備は撤去しダイニングへ統合。折戸は三分の二に縮めその上部はロフトへ。写真中央の柱の向こう側、流し台の右手はトイレだったが冷蔵庫置き場に。
4イン1にした洗面室。洗濯機置き場併設のキッチンを浴室・洗面・トイレの3イン1に変更。(続く)
Before
After 旧流し台背面からの撮影。流し台は撤去され出入口ドアと洗濯パンへ、奥の旧洗濯パンはトイレへ、正面壁はUBの出入口へ、リビングとの接続部出入口は洗面台へ。
企画になかったが居室2のクローゼット撤去と天井上げによる空間拡大。クローゼットをオープン化し、居室1のロフト設置時に天井を上げたのと同様な高さ拡大により天井高2.7mを実現した。
先にお伝えした通り、本件は賃料効果仮定と投資効果仮定を置き投資額を350万円とした。完工時の費用総計は約360万円となった。
・造作+電気+壁紙 230万円
・設備(上下配管変更、各設備設置) 113万円
・支給品(流し台、洗面台、便器)16万円
ほぼ目標額どおりであるが、これに加えてマルチエアコン購入13万円、同設置6万円、居室2の追加工事約50万円。さらに検証による是正工事に30万円ほどを見込んでいる。結果460万円程度の投資となるだろう。
ここからの賃料効果については客付け後に追記しようと思う。
(更新中)
「設備業者見積の闇」でお伝えした通り、本件のようにリフォーム業者に一任しても、その座組へのチェックが必要である。造作、設備、電気、壁紙が基本的なチーム構成だが、見積をこの枠組みで作成させ、各項目ごとにその妥当性をしっかり確認しよう。本件では設備工事だけで約60万円を節減した。初期の設備見積からはなんと半値になったのである。
マンション全体の修繕同様に、専有部のリフォームも知見を集め交渉の姿勢が必要だ。見積書の構成、各価格の妥当性、適切な見積更新、支払い条件、などが交渉の要点である。腹落ちしなければ座組を変えさせる、契約を解除する、など強い姿勢で臨みたい。相場観を持つことが難しいリフォーム工事はつい言いなりになってしまいそうになるが是非参考にしてほしい。
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ユニットバスや洗面台、流し台の交換に際して給排水管の更新工事も行ったが、この水回り設備見積には大変困惑した。
表1がその見積結果の一部である。各作業単価がそのまま積算されている。例えば、不要になった旧給水管と給湯管を切断撤去で、40000円と50000円、新規配管へ開口は2カ所で35000円x2、といった具合だ。時間にすれば全部合わせても数時間のこれら作業が合計160000円とは腹落ちしない。各所スポット請負ならばともかくも、水回り全フォーム請負で作業単価積算は常識なのか非常識なのか・・・。試しに他の業者へ見積依頼した結果が表2だ。各所作業一式となり、例えば給水管更新一式50000円、さらには使用部材も細かに必要量のコストが表記されている。
結果、この見積比較において、作業単価積算業者と各所一式見積業者との差は約170万円対120万円とその差50万円、30%の減額となった。東京圏の同業でもこれだけ見積の考え方が異なる。前者の見積もその根拠は明確だが、結果「ぼったくり」との指摘は免れられないだろう。設備業がなんとも闇なのであった。(さらに追記すれば、この170万円見積業者の減額交渉前・初期見積は230万円だった。でたらめという言葉以外見つからない・・・)
表1:設備業者見積ー作業単価積算
表2:設備業者見積ー各所一式積算
本案件は水回り設備・大工工事・電気工事全体をリフォーム業者に一括委託したケースだが、このリフォーム業者から再委託を請けていた設備業者の見積への不信から、委託範囲を大工工事と電気工事のみにした。リフォーム業者もその先の委託業者の優劣をしっかり評価し選別しなければならないように発注側も見積に厳しい目を向けるべきだ。
また、各業者も請負内容に対して妥当で誠実な見積を行ってほしい。大工さんに聞いたところによると、造作作業よりも設備作業の利益率は大幅に高く、現にどの業者も自社ビルを持っている、と半分揶揄を含む反応であった。
後記:
文中に例として挙げた作業、配管2本撤去と壁開口2カ所で16万円、仮に多めに見て4時間作業として時間給4万円だ。道具、技術、危険性など作業に際しての付加価値を考慮しても非常識ではないか。例えば音楽家の指導料は1時間1万円もない。才能に恵まれ、学費を払い、日々切磋琢磨し、生涯経済的なリスクを取った結果の価値提供に対する価格だ。配管のほうが何倍も割がいいのは何故か・・・売り手買い手の情報格差に比して闇は深まると感じる。
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排水管の各種制約事項を優先しつつコンセプトを実現するためにフロアプランを変えるに至った。その経緯を紹介する。
PS(共用排水管)の最至近にあったトイレを洗面室に統合し、3in 1洗面室が最大の目的であったため、汚水管の総配管距離は4mと長くなった。東京都の下水は合流式で、PSの共用排水管も一本しかないにも関わらず、室内では汚水管と雑排水管が独立している。かつ、共用排水管への接続位置もそれぞれ異なっていたため(汚水管はスラブ下に埋設接続されているよう)洗面台と洗濯パン、ユニットバスの雑排水と汚水管が交差してしまう問題に直面した。交差させればその分床の高さを上げなければならない。
フロアプランーBefore
リフォーム部分全貌ーBefore
以下、排水管のBeforeーAfter だ。
●旧トイレと洗面台部分。写真下(After)の左側が雑排水。下から、洗面台、流し台、UBへの分岐エルボ。右側が汚水管。汚水管と雑排水管は合流共用管に対して接続位置が異なっていて、汚水管はスラブに潜り込んで共用排水管に合流されている。その接続形態は変えないことにしたため、この配置になった。
洗面台とトイレの床下ーBefore。写真上部の傷んだコンパネ部分が旧便器設置位置。汚水管は何故か共用排水管に直結されずにスラブに埋まっている。右下が旧洗面台、上部左へのエルボがUBへの配管。同斜め左上への配管が共用排水管への接続。汚水管と雑排水管は交差することが無い配置だった
Afterー右汚水管。既存のスラブ埋設へ接続した、左雑排水管。上からUB接続、流し台接続、洗面台接続へのエルボ。各樹脂製の給湯管が配管される。混合にせず給湯のみの単水栓。
UB部分。旧給水管給湯管が更新された。排水管は右上の雑排水管から引き込む。
ユニットバスーBefore
After
旧流し台と洗濯パン(両方とも雑排水)は洗濯パンとトイレへ変更。汚水管に統合した。汚水管距離が4メートルになり、勾配100分の一を確保するためこの3in 1洗面所スペースの床は上げざるを得なくなった。
流し台床下ーBefore
Afterー汚水管。上がトイレへの接続部。左が洗濯パンへの接続部。下は洗面台への接続部
結果、フロアプランは下図のように変更となった。汚水に接続せざる得ない設備を洗面台から洗濯パンに変えた。洗濯パンのトラップが工業製品としてしっかりしており、また人が直接排水口に関わることがないからだ。交差点は排除したが、それでも汚水管の勾配確保へ、洗面室の床は5センチほど上げざるを得なくなった。しかし、最難関の排水管レイアウトが決まり最重要コンセプト、3イン1が実現できたことでまずは一安心。
フロアプランーAfter
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解体前におおよその梁構造や配管穴など確認して企画意図を固めるのだが、最終決定は解体後である。
<企画意図ー前回ブログの要旨>
・トイレと洗面、流し台を配置換えすることで、洋室1への通路はLDKに加わり14畳になる。さらに洋室1への動線上をロフトにすることで洋室2に1.5畳加わり合計5.5畳となる。
これにより、50平米に満たない居室が、「2LDK、リビング14畳」と大きく仕様を向上させられる。
・この付加価値の賃料効果を2.5万円として、償却期間と利回りから350万円を目標コストとする。
以下、解体状態の各所写真である。
リフォーム部分全貌
LDKへ統合部分
洗面台とトイレの床下
ユニットバス
流し台床下
おおよそ水回り各設備は意図どおりに移設可能と思われるが、レンジフードのダクト配管に難がありそうだ。バルコニーへの配管経路である図上居室中央縦にも梁があったからだ。流し台起点に考えると、最適配置はその左、新ドア設置位置になる。施工業者と最終案へさらに調整が必要だ。(続く)
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さて、管理組合に朗報をもたらしたことも紹介する。
別物件で排水管更生工事を施工頂いた専業某社様に居室内を通る共用排水管について所見を頂いた。解体開口のこの機会に有償の調査を打診したら上記の画像で以下所見を頂けちゃったのだ。
・耐火二層管(不燃材で外装された塩ビ管)使用。図面上も耐火二層管の記号であるTPと記入があり。
・共用専有配管共に、塩ビ管であるため経年による腐食は生じない材質のため、大々的な改修は不要。
・特段内視鏡調査等の実施も必要ではない。
別物件は鋳鉄製で腐食やサビの更生工事に戸当たり50万円の支出となった。当該マンションでも長計上に2269万円が計上されていがなんとメンテナンスフリーと判明したのである。長計上で2千万円超を消すことが出来る。これは「修繕」でも述べた通り、即毎月の修繕積立金を減額反映することが出来るのだ。
共用排水管
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