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第三者管理か職業理事か

・マンションという住システムの欠陥

・いっそ第三者管理?・・・この甘言に翻弄されるマンションオーナー

・国は規制に動くか

マンションという住システムの欠陥

マンションという住システムに欠陥があることは本ブログで幾度も述べたし、そもそもそれを解決するためのノウハウ共有が本サイトの目的のひとつでもある。ここに改めて記せば以下のとおりだ。

 

①自宅というハードの維持管理が多数決意思決定システムに依存していること

②その多数決投票権者が多様であること(年齢も収入も住への価値観も、また維持への関心やこだわりも異なる)

③この意思決定システムを利用して売上を最大化しようとするマンション管理業界

④上記を直感的に認識し、理事役を敬遠する所有者たち(管理組合員)

 

もう完全なるジレンマ構造である。当方が関わる物件はどれも漏れなくこの4要因に翻弄されていて、節目の修繕工事に際しては、築年や保有資産から妥当な修繕策を提案し、それを可決させるため、内向きにも外向きにも膨大なエネルギーを費やしている。

 

いっそ第三者管理へ・・・理事会不要の甘言にさらに翻弄されることにならないか

この欠陥状態を認識しているのはもちろん当方だけでない。発案の経緯は不明だが「第三者管理」方式がにわかに注目されている。建物が高齢化すれば当然所有者も高齢化し、よって要因④がさらに悪化する事態への解決策、が建前だ。また、「第三者」とは現在のマンション管理会社がその主体となる。要因③に幾度となく対抗してきた当方にとってはにわかに信じられない管理形態だ。業界規制もモラルも???で、売上最大化に野心的な業界、に理事会機能が丸投げ!などあって良いものか。利益誘導が実に容易にできる構図を導入してしまったらどうやって所有者にとっての経済合理性を担保するのだろうか。

 

保全義務と経済合理性義務の両輪構造を作ろう

管理の土台である区分所有法だが、管理者の物件保全義務については明示的に定められている一方、経済合理性義務については甚だ薄い。管理者には上記二つの義務を両輪として課すべきだ。

そもそも組合が専門家を起用できるようマンション管理者制度が整備されたが、実体は管理会社が社員の資格取得に積極的で、本来の趣旨である組合に寄り添うべき専門家資格が、管理会社の利益誘導の先鋒になっているように見えてしまう。利益相反の疑念を持たれる前に、そもそもその構図を排除すべきだ。

 

不動産系資格よりはプロジェクトマネージャ

保全への修繕投資と経済合理性の両輪を成立させるために組合に寄り添う専門家としては不動産資格ホルダーよりプロジェクトマネジャーだ。なぜならプロジェクトマネジメントの目的が「Quality・Cost・Delivery」の達成、つまり目標と費用と納期のトレードオフ関係を依頼者に対して最適化するNatureにあるからだ。もちろん見積技術や業務委託、利害関係者対応も目的達成へ必須のスキルで習得済みだ。この資格や経験を持った企業人OBの活用対象がここにある。

 

国は規制へ動くか

住というライフラインに売上最大化がNatureである民間営利企業が紐づくこの方式、他のライフラインである電気・ガス・水道と同様な規制が必要だ。人の生き死にに関わる点では公共サービスよりも重要な住インフラ、その住管理について丸投げできる市場を作るのであれば、価格規制や経済合理性担保の仕組みが前提であるべきだ。大きな市場だけに放置すれば魑魅魍魎が跋扈し、マンションオーナーはじわじわと余計な出費を強いられ長期的に弱っていく寄生主になってしまう。

と、思っていたところに飛び込んできたのが以下の報道だ。

国交省よ、消費者庁よ、縦割り行政の壁を乗り越えて消費者のために制度設計・市場設計をしてほしい。当LLPでは、この取り組みが腹落ちする次元に成熟するまで、組合の自主自営(自衛)策である職業理事策(プロ理事)への情報共有を展開していく。

 

#マンション #マンション管理 #理事会 #第三者管理