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物件の命運を分ける排水管更新

・共用管の限界は40年。事故発生前に予防保全が必須の設備

・高額な工事費用に加え、全住人の協力が必須

・長期に渡って修繕計画へ所有者の関心を惹きつける必要性

●限界は40年

所有物件の複数で排水管(共用部の竪管)が寿命を迎えている。共に80年代前半築だ。

一件は排水管からの漏水で、階下の居室は汚水にまみれた。原因は詰まりで、なぜ詰まるかと言えば、垢やさびで管内が狭くなってしまっているからだ。内視鏡検査でその状況は一目瞭然。特に接手部分が危険である。

もう一件は、外見から判るほどの管の劣化で、高圧洗浄ができない状態である。

こうなってしまうと、質の悪いペーパーは使うな、などなんとも涙ぐましい注意喚起くらいしか対処法がない事態に追い込まれる。後述するが、排水管の更新は費用面、住人の協力面から一大事業であるからだ。

これら経験からすれば、排水管の限界は40年で、それまでに更新工事を済ませておくべきである。なぜなら排水管漏水は雨水や上水道からの漏水と異なり、居室の「汚染」を引き起こすからだ。それ以上は言うまでもあるまい。予防保全が必須の設備である。

●工事費用は大規模修繕並み

更新工事の工法としては二種類。交換と更生工事だ。

・交換:共用管をすべて新しいものに取り換える

・更生:共用管内部を研磨・コーティングする

一例としての費用は、交換が一戸あたり負担に換算して100万円超、更生で同50万円超のイメージだ。50戸規模なら5千万円、100戸規模は1億円と、大規模修繕並みの費用が必要である。更生工事でその半分超だ。35年までに済ませようとすれば、一戸あたり年間3万円、月2千5百円の積み立てが必要なのだ。当たり前に「流す」ことがこれほどのコストを伴うと考えている住人はおそらく皆無だと思う。

●施工には全住人の協力が必須

さらに大変なことは住人の協力だ。どちらの工法でも、共用管を共用している全住戸の協力が必須なのだ。

工事期間中は全戸で使用を止め、さらに宅内からの施工対応に応じる必要がある。これは管理組合として全住戸全所有者全住人と確実にコミュニケーションが取れていないと実現できない。排水管が使用不能となればもう住むことができなくなる。マンションにとって致命的な設備であることが意外と知られていない。

毎期の総会において、長期収支面で全所有者の関心を惹く努力が必要なのである。築30年あたりで注意喚起とともに更新計画を緒につけておきたい。